2012/03/13

Yuki of the day

手の内を明かす猫

米国でますます進化するオンライン・デーティングサイト

アメリカでは、男女の出会いの場としてオンライン・デーティングサイトが発達しています。その数は数千を超え、業界(課金サイト)の規模は10億ドルにも達する(2010年)のだそうです。
ユーザー数が飛躍的に増えるに従って、恋人やともすれば結婚相手を見つける手段として一般化し、以前はあったスティグマ(汚名)もほとんどなくなってきていると言われています。

業界大手のMatch.comの調査によれば、オンラインは新しい相手と出会う方法としては、職場・学校、友人・知人の紹介に引き続いて、第3位。アメリカでは、今や6組に1組の結婚はオンラインを介して知り合った結果によるものだとのこと。

私が知っている中でも、オンラインを通じて出会った相手と付き合っている例が複数あり、さらには今夏に結婚を控えているカップルもいます。

このように、オンライン・デーティングサイトが多くのユーザーを獲得し、ビジネスとして成立し、さらに拡大する背景にはITテクノロジーの発達が大きく貢献しています。ユーザーがデーティングサイトに求めるニーズは、極力時間・労力・お金をかけずに条件にあった相手と出会う事ができるかどうかということに尽きます。条件に沿った相手候補をシステムが提示するその背後には、アルゴリズムを駆使したコンピューターによる膨大な情報処理作業が行われているのです。また、直感的には、理想の相手と出会うためには多数の相手候補を提示される中で選択する方がいいと考えがちですが、一人の人間が一定の時期に扱える人間関係には限りがあるため、コンピューターにはますます条件検索の「精度」が求められます。

さて、先日、新進気鋭のブログニュースサイト"Huffingtonpost"で、オンライン・デーティングサイトの関する新たな傾向について書かれた面白い記事を見つけました。その名も「Online Dating Gets Religious(オンライン・デーティングサイトは宗教化している)」。色々な人が入り乱れているメジャーなデーティングサイトとは違って、初めから特定の宗教の信者にターゲットを絞ったデートサイトが隆盛を極めているとのことです。

自分と同じ宗教を信仰している人たちの中からさらに他の条件も満たす相手であれば、いずれ結婚に至っても宗教の違いがネックになることもないし、個人的な家族や親戚の反対に合ったりといったトラブルを避けることができます。またそもそも宗教は、結婚に関する考え方はもちろん、日常生活における飲食に関するルール、守るべき行事ごと(例えばクリスマスを一緒にお祝いできるか?)といったように生活のあらゆる場面に関わってくるので、同じ宗教を信仰している人の方が似たような人生経験を経て共通項も多く、人生の伴侶としては選びやすいということもあるかと思います。

日本社会と比べて、宗教はアメリカ社会において重要な位置を占めています。最近では中絶を禁じているカトリック系の病院や大学でのバースコントロールピルの取り扱いが大きな社会問題となっているように、宗教の違いはともすれば社会を分断する程の影響力を持っています。個人対個人の関係において、ましてや結婚を念頭に置いて付き合うカップルにとって、自身や家族が信仰を強く持っていれば持っているほど、宗教は避けては通れないものとなります。そのため、あらかじめ理想の相手の条件として自分と同じ宗教を信仰していることを選択しようとするのは、当然の傾向かもしれません。

興味深く、思わずくすりと笑ってしまったのは、記事中の以下のくだり
"In the world of online dating, religious sites indicate a classic belief among some love seekers that faith matters and that God is the ultimate matchmaker."

すなわち、理想の相手に出会えるかどうかも「信仰ありき(=信じるものは救われる・・ぐらいの意味でしょうか)」であり、最終的に相手に導いてくれるのは「神」であるとのこと。決してコンピューターではないわけです。

ちょっと余談ですが、昔の日本のドラマなんかを見ていると、ちょっとお節介な親戚の何とかおばさんが、独身の女性に縁談を持ってくる場面などがあります。大抵、現代的な結婚観に目覚め出した若い主人公が「お見合いなんて古いわ・・」などと断ったりするのがお約束でした。今となっては、もうそんなお節介な親戚のおばさんなんて存在しないのかもしれませんが、少なくとも彼女はマッチングにあたり、両家の家庭の事情や金銭感覚等も踏まえてこれはと思う選択肢を持ってきていたのではないだろうかと考えるのです。そのように考えれば、おばさん(ただし架空)の頭の中で行われていた情報処理作業は、オンラインデーティングサイトが現在先端技術を駆使して行っている高速のそれと、そう大差ないものであったのかもしれない・・などと考えます。


参考:
http://www.huffingtonpost.com/2012/02/14/religious-romance-require_n_1270558.html#s684671&title=OkCupid
http://www.newyorker.com/reporting/2011/07/04/110704fa_fact_paumgarten

2012/03/07

結婚を通じての永住権申請:面接

久しぶりの投稿です。新年の抱負(New Year's resolution)はどこへやら・・早くも筆不精になってきており、反省しきりです。

さて、先週金曜日、プロビデンスの隣町ジョンストン(Johnston)で、永住権申請の最後の関門である「面接」を受けてきました。面接は朝8時に設定され、旦那も一緒です。

この面接では、私が永住権を申請したベースとなっているアメリカ市民との結婚生活が①まぎれもなく行われており、②永住権取得目的ではなく愛情に基づいていること を確かめるとのこと。

それらを証明するためには、面接官の質問に対する答えが夫婦で一致している必要があります。
私たちのケースでは、旦那が先に一人呼ばれて面接官から質問を受け、後で私が呼ばれ、同じ質問を受けました。幸い、私たちの面接官はフレンドリーな女性で、笑顔で迎えてくれたので、緊張せずに臨むことができました。

質問内容は「いつどうやって出会ったか?」「お互いの両親の名前は?」「結婚式はどこで行い、何人ぐらい参列したか?」「いつ仕事を始めたのか?」等、ひっかかりようもなく、ごく基本的なものでした。また、ふとしたきっかけで飼っている猫の話になり、猫の名前も聞かれました。

知り合いから聞いた話では、「家のカーテンの色は何?」「今日の朝食は何を食べた?」等聞かれるとのことだったので、そもそも細部にこだわらずに忘れっぽい旦那が何かやらかすんではないかと、非常に危惧していましたが、私達の場合はそのような質問は一切ありませんでした。

実際、「いつ付き合い始めたか?」という質問に、旦那は1年間違えて答えてしまったそうですが、私の答えと違っていても特に突っ込まれませんでした。まあ人間なら誰でも忘れっぽかったり間違えることもあるので、あまりにも二人の答えが不自然なまでに一致していると、逆に怪しまれたりするのかもしれないなぁなどと考えていました。

また二人の結婚生活を裏付けるサポート資料として、銀行の共同口座や保険、二人の連名となっている家のリース等の書類の他、二人の写真や手紙を持っていきました。写真などはそこまで見られないだろうと思っていたのですが、意外にも日本での旅をスクラップブックにしたものに興味津津で、「これはどこだ?」「この食べ物は何だ?」などと聞かれました。二人で旅行した時の航空券のコピー等も取っておくとよいそうです。
ひとしきり話した後、最後には日本語で「dog=犬」「cat=猫」など教えて終了でした。

結果はその場では通知されないかと思っていたのですが、「あ、Approvedだから」とさらっと伝えられ、グリーンカードが数週間で到着すること、今回のカードは2年の条件付きで、また2年後に面接があり、無条件カードに切り替えできることなどが伝えられました。

申請当初からこの日を待ちわびていた割にはあっけない終わり方でした。
しかし、何にせよこれでアメリカで独立した成人として認められたのだなと思うと、嬉しさがこみ上げてきました。申請送付から3か月の長くて短いvisa journeyでした。