2012/01/09

アメリカの映画事情

先日、近所の映画館に「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」を見に行きました。


今回が4作目となる、MI(ミッション:インポッシブル)シリーズですが、実は前作を一度もまともに見たことがありませんでした。しかし、どちらかといえば絶え間ないアクションシーンを売りとしている映画であり、ストーリーは極めてシンプル(?)なので、難なく楽しむことが出来ました。

ネタばれにならないよう、映画の詳しい内容については控えるとして、今回は映画館に足を運んで少し気になったアメリカの映画事情について、ご紹介したいと思います。

さて、今回の"MI4"は映画批評サイトでのレビューが良かったこと、幅広い年代が楽しめる定番のMIシリーズ作品ということで、公開1カ月弱たっているとはいえ、週末の午後の回ということもあり、沢山の人が詰めかけているのではと予想していました。しかし、意外にも、蓋を開けてみるとほぼ半分のシートが空席でした。

ちなみに、今回はIMAXシアターで鑑賞したため、12ドルと少し高めですが、通常は大人10.50ドルです。
ん?日本で鑑賞するよりは格段に安いとはいえ、ひと昔前(学生時代)はアメリカでの映画鑑賞ってもっともっとリーズナブルだったような・・

一体、何が起こっているのでしょうか?

2011年はアメリカの映画産業(≒ハリウッド)にとって「最悪の1年」であったと言われています。
国内映画館での観客動員数が過去最低となり(チケットの値上げを行ったにも関わらず)興行収入は1992年以来過去最低となりました。DVDの売り上げの減少にも歯止めがかかりません。
(あくまで、アメリカ国内の話です。日本をはじめ、海外での興行収入こそが、今や映画会社にとって製作費を賄うための命綱であるとか・・)

その理由としては、経済の状況により、消費者のお財布のひもが固くなっていること。特に、ティーンや20歳代といったターゲット層の若者の余暇へのお金の使い道(※注)がシビアになったとのこと。彼らは、ソーシャルメディア等を駆使してレビューをくまなくチェックし、本当に行く価値がありそうだと納得しないと映画館にまで足を運ばないということです。
また、高速インターネット回線の普及によりNetflix等でのデジタルストリーミング・ダウンロードが可能となり、家で映画を鑑賞する人が増えていることです。

※注)興味深いのは、映画業界関係者へのインタビューで、複数が若者をターゲット層とした際の競合として「ゲーム」をあげていたことです。この「ゲーム」には、プレイステーション、Xbox、Nintendoといった従来のゲームに加え、圧倒的な人気を誇る"CityVille"や"Farm Ville"(ジンガ社)といったソーシャルゲームも含まれています。

3D等の最新技術の使用や高額なスター俳優・女優の起用により、映画の製作費およびプロモーション費用は年々膨らむ傾向にありますが、前述のような理由から、必ずしもコストに見合った興行収入が期待できるとは限りません。映画会社は損失を挽回したいメガヒットを狙うべく、さらに巨額をつぎ込んで大型映画の製作を行いプロモーション合戦を行う・・・という悪循環となっているとのこと。

2011年最も話題を集めた映画の1つとして、フランス人監督によるサイレント白黒映画"The Artist"があげられます。1920年代後半のハリウッドを舞台としており、トーキーの登場によるサイレント映画の終焉を描いた秀作です。

                                                

昨年末、アカデミー賞の前哨戦とされるニューヨーク批評家協会賞の作品賞も受賞して、アカデミー賞に最も近い存在として注目されています。このように古き良き“往年のハリウッド”を描いた外国作品が絶賛される背景には、現在のハリウッド映画の業界の体質や飽くなきプロモーション合戦への嫌悪があるのかもしれないと穿った目で見てしまいます。

参考:
http://www.nytimes.com/2011/12/26/business/media/a-year-of-disappointment-for-hollywood.html?_r=1

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