先日のThe New York Times電子版に"The Rise of the New Groupthinking"という記事が掲載されていました。
http://www.nytimes.com/2012/01/15/opinion/sunday/the-rise-of-the-new-groupthink.html?_r=2&pagewanted=all#commentsContainer
記事の概要としては、Steve Jobsと共にApple社を創立した天才エンジニアSteve Wozniakの例を取りあげ、孤独こそが創造性を生み出す源であると主張しています。様々な分野で際立って創造的だとされている人物は内向的な性格である場合が多いといった心理学者による調査を踏まえながら、現代社会では学校・会社・宗教団体に至るまで、人生において携わるあらゆる組織・団体で「グループで考える/行動する」ことに重点が置かれるあまり、ともすれば高い潜在能力を持った人たちが創造性を発揮する機会を失っていると指摘しています。
大グループで行うブレインストーミングが、いかにそのグループダイナミクスによって、本来の目的である創造的なアイデアの創出を阻んでいるかについて書かれている辺りは、「よくぞ言ってくれた!」という一言に尽きました。人が集まれば集まるほど、よいアイデアを出さなければ・出したいという個人が感じる意欲や責任感が減ること、無意識のうちに他人の意見につられ、結局は似たり寄ったりな意見に収束していくといったことは、多くの人が一度は経験したことがあるのではと考えます。※注)
※注)ただし、ブレインストーミングという行為自体が悪だと決めつけるのは早急です。事前に明確なルールを決めて参加者が共有することで、効率が良く生産性の高いブレインストーミングを行うことができるという実例が以下に示されています↓
【IDEO社のブレインストーミング】
http://www.openideo.com/fieldnotes/openideo-team-notes/seven-tips-on-better-brainstorming
このNYtimesの記事では、創造性を発揮するために人との交流を全く遮断するべきだと主張しているわけではありません。ソーシャルとパーソナルな環境を自在に行き来し、特に、パーソナルな環境で一人黙々と集中して思索にふけること、また作業するということに、今迄以上に価値が置かれるべきだと主張しています。
ふと、数ヶ月前に知人を介して訪問した、プロビデンスのある会社を思い出しました。会社といってもフルタイムで働いているのは5人。元は精神科医が住んで診察もしていたというビクトリア朝の一軒家をオフィスとする、最新テクノロジーに関する記事執筆に特化したサイエンスライター集団。それぞれが個々にアサインメントを抱えており、1日のほとんどは隔離された個人のオフィスで仕事をするのだそう。その代わり、朝のコーヒータイムというものがあり、社員がそれぞれ持ち寄った文章をお互い批評し合ったり、またある時は何でもないような世間話をして過ごすのだと、自身もライターである社長さんがお話されていました。
きっとこの会社は、自分たちに最適なパーソナルとソーシャル空間の絶妙なバランスを経験則として知っており、オフィスのレイアウトといったハード面のみならずコーヒータイムといったソフトな習慣として取り入れていたのだろう、などと今更思い出していました。
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