年末にかけて、新聞やテレビでは「今年株を上げた人・下げた人」「今年のベスト10映画」「今年のベスト5 iphone Application」といった2011年を振り返るまとめ特集が多く見られました。2011年半ばに渡米した身としては、こちらの流行についてまとめてダウンロードする機会として、楽しんで読んでいました。
今回、アメリカ版「新語・流行語大賞」ともいえる「2012年に消える言葉のリスト」なるものを発見しました。これはLake Superior State Universityが1976年より毎年恒例で発表するリストですが、「過度な使用」「誤った使用」「単に不必要」であるがゆえに「来年には廃れる」とされる新語・流行語・スラングを一般投票の結果も取り入れて選定するものです。さて、「2012年に消えゆく言葉」にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なものを紹介すると・・
◆Amazing びっくりするような 素晴らしい
デイリーショーの司会者やリアリティ番組、FacebookなどのSNS上の会話で多用され、本来この言葉が持つ価値や特別感が失われてしまったとのこと。確かに、何でもかんでも"Amazing"と言ってしまったら、一生に一度のびっくりするような素晴らしいことを描写する際に、使い古された言葉しか残されていないという事態に陥ってしまいます。私自身、この言葉を使いがちなので、自省の意味もこめて・・
◆baby bump 妊娠してお腹が膨らんでいること
セレブリティが自らの妊娠状態を描写するのに用いる言葉。2011年だと、代表例は歌手のビヨンセ。子を宿すという女性の真剣な選択を軽視している、妊娠がセレブリティーのアクセサリーと化している、などといった意見があったようです。
"pregnant"という言葉自体にはもちろんタブーではないのですが、"16 and pregnant"といったティーネージャーの予期せぬ妊娠を描いたリアリティ番組もあるように、他の語との組み合わせによってはタブーやスティグマを呼び起こすこと、イメージ第一のセレブリティがそういった煩わしさを避けようとして代わりに"baby bump"を使い出したのではないかと考えます。
◆man cave 男の洞窟
意訳ですが、日本語で言うなら「男の隠れ家」といったような表現がしっくりくるかもしれません。
家の中で、唯一男性がくつろげる趣味の部屋・スペースのこと。TVやインテリア雑誌等の過度な使用により、「もう十分だ!」「男性がすべてman caveを欲しているわけではないのに一般化しすぎ」といった意見があったようです。
実は、私がこの"man cave"という言葉を初めて聞いたのはクリスマスに旦那の実家を訪ねた時でした。義父へのクリスマスプレゼントの一環として、義母が一部屋を"man cave"に改装したのです。
この部屋では、義父は、趣味のナポレオンの闘いを再現したミニチュア兵隊を堪能することができ、また大音量でボブ・ディランを聴くこともできます。その際に素敵なアイデアだと感心し、"man cave"を私的新語リストに追加したところだったのですが、まさかその1週間後に"廃れる語リスト"上で発見するとは・・
「言葉は生き物」とよく言われますが、その通りだと実感します。言葉とその使われ方を観察していると、その奥に世相や人々の考えの移り変わりも見えてきて、とても面白いものです。
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