2012/01/15

アメリカ人が夢中になっている英国の歴史ドラマ、"Downton Abbey"(ダウントン・アビー)

最近、英国の歴史ドラマ"Downton Abbey"がニュースでよく取り上げられており、旦那と一緒に見始めたところ、すっかりはまってしまい、2日で1シーズン(全7話)を全て制覇してしまいました。


ネタばれにならないよう、詳細な内容については控えますが、エドワード朝時代(1910年代~)のノース・ヨークシャー地方にある架空の屋敷"Downton Abbey"に住む伯爵とその家族、そして使用人達についてのお話です。

このドラマの魅力は、当時の生活の様子が非常に丁寧に描写されており、純粋に映像美を楽しむことができる共に、1910年代のイギリスの田園地帯という自分とは到底縁のない時代設定にも関わらず、登場人物が生き生きとリアルに感じられることです。屋敷で暮らす貴族の一家、階下で暮らす使用人たちのそれぞれの視点が重なり合い、重層的で味わい深いストーリーとなっています。

絶対的な身分制の下、貴族と使用人の間には超えられない身分の壁があり、同じ空気を吸っていても文化・習慣、普段使う言葉でさえも全く異なります。伯爵未亡人の“What is a weekend?”("週末"って何のことかしら?)といった、働いたことがないため週末という概念を知らない純・有閑階級ならではの発言は、コミカルでさえあります。
ドラマの中では、階級間の違いのみならず、貴族・使用人の中でも若い世代と古い世代の間に考え方の違いも描かれています。黙々と自分が仕える主人への忠誠を誓い、絶対的な信頼を得ているベテラン執事もいれば、メイドとして一生を終えたくないとの野望を持って隠れてタイプライターを練習する若いメイドなど、それぞれが生身の人間として描かれています。また、貴族の若い世代は、時代が変わりゆく中での、自らの貴族という立場、個としての自己実現、社会正義といった価値観をどう整合させるかという問いの前で、苦悩や葛藤を抱えている様子が描かれます。

また、物語の舞台でありタイトルにもなっている"Downton Abbey"、そのインテリアや調度品の美しさ、登場人物たちが纏う豪華な衣装には思わず息を飲んでしまいます。撮影が行われたHighclere Castleには、放映開始以降、熱心なファンが詰めかけているのだそうです。
http://www.highclerecastle.co.uk/



アメリカでは昨年よりシーズン1がPBSで放映され、600万人もの視聴者が釘づけになったとのことです。今月、イギリスでの放映より数か月遅れで、アメリカでもシーズン2が始まりました。

昨年ウォールストリートから全国各地に広がったOccupyデモの参加者たちは、アメリカのトップ1%が占める資産の割合が増加している状況に対し、"We are the 99%!"というスローガンでもって警笛を鳴らしました。そんな格差社会化が大きな問題として取りあげられる中で、この"Downton Abbey"のような格差が固定された封建社会(とその終焉の予兆)について描かれた歴史ドラマが非常に人気を集めていることは、非常に興味深い現象です。

オーストリアに住んでいる友人もとても大好きだと言っており、このドラマの発祥である英国(あまりの人気ぶりに、既にシーズン3の放映も決定済み。2012年9月から放映開始予定。)はもちろんのこと、アメリカ、ヨーロッパ、そして英語圏のアジア諸国でも大流行しているそうです。

日本では、スターチャンネルで放映中とのこと。http://www.star-ch.jp/downtonabbey/
機会があれば、是非ご覧になってみてください!

0 件のコメント:

コメントを投稿