2012/01/31

深夜・24時間営業に乗り出すファストフードチェーン

日本では、友人や会社の仲間と飲みに行った後に、さらに小腹を満たす「ラーメン」、または駅から家に帰るまでの間にふらりとコンビニに寄って「ハーゲンダッツ」を購入するといったギルティー・プレジャー(=guilty pleasure:わかっちゃいるけどやめられない罪悪感を感じながら楽しむ悪習慣)を可能とする環境があります。すなわち、深夜営業もしくは24時間営業で食べたい物を入手できる飲食店や店の選択肢が多々あります。

一方、アメリカでは、ニューヨークといった大都市は別として、大抵のレストランは深夜営業をしていません。また、コンビニエンスストアも、24時間営業は少数派であり、品ぞろえもスナックや飲み物はあるにせよ、日本のコンビニエンスストアのような惣菜類の品ぞろえも期待できません。学生街では、徹夜組(試験勉強もしくはパーティ-のため)を対象として、夜遅くピザやバッファローウィング(鶏の手羽先)を宅配してくれる店がありますが、多様な選択肢と味はそこまで期待できないという状況でした。

しかし、近年、アメリカにおいても、夜行性の消費者のニーズを満たすべく、大手ファスト・フードチェーンが動き出しました。

まずは、メキシコ料理の大手ファストフードチェーン タコベル(Taco Bell)のケース。数年前から深夜営業を開始し、夜ごはんと朝ごはんの間の"Fourth meal"(第4のごはん)という概念を紹介し、バーの閉店後にも簡単に安く小腹を満たせる場所として若者に人気を集めています。また最近、朝食時間帯にも乗り出すとの発表もありました。
Taco Bell Fourthmeal website: http://www.tacobell.com/fourthmeal/


そして、日本でも24時間営業の店を見かけることが多くなったマクドナルド。アメリカでも、近年、多く店舗でドライブスルーの24時間営業を開始しました。深夜0時から午前5時の時間帯の売り上げが最も伸びたとのことです。

「夜行性の消費者」というのは、何も飲み歩いて小腹をすかせた若者だけではありません。
シフト制で、深夜も/まで働く職業についている人たち(医療関係者、トラック運転手、警官、飲食店・バーの店員など)の存在は見過ごせません。このような大手ファストフードチェーン店の深夜営業には、価格も味も魅力的な選択肢が増えたということで、働く人たちにも支持されているようです。

しかし、深夜にファストフードを食べるという選択肢は、便利であっても健康面で良い選択であるとは言えません。「ギルティ・プレジャー」はたまに罪悪感を感じながらやるから至福の悪習慣のであって、毎日やるとただの悪習慣です。

アメリカといえば「肥満人口が多い国」などといったイメージを持つ方が多いかと思いますが、実際に人口の3分の2が肥満とされ、"Obesity epidemic"と呼ばれるほど深刻な問題です。"Epidemic"というと真っ先に思い浮かぶのが「伝染病」です。肥満のケースでは必ずしも「伝染する」という意味ではなく「流行・多発・蔓延するさま」を示しているわけですが、このようなインパクトの強い言葉を使わざるを得ない程、肥満が引き起こす個人の健康およびに社会保障制度への影響は測り知れません。

とりわけ、過去30年で3倍に増えたとされる子どもの肥満は大問題であり、ファーストレディ ミシェル・オバマや、元大統領のビル・クリントン等がこぞって子どもたちを対象に“Eat Better”と訴え、より栄養バランスの取れた食生活の選択を促すキャンペーンを行っています。
(以下の写真は、当然のことながらジョーク写真です。)


幼少期にどのようなものを食べて育ってきたかということが、成長期の健康への影響はもちろん、その後の人生における食の嗜好にも大きな影響を与えることは、経験上、疑いようもありません。しかし、せっかく「何を食べるべきか」といった食教育を行っても、実際に"Eat Better"を実践する選択肢が用意されていなければ、元も子もありません。

タコベルやマクドナルドの成功により、今後さらに深夜・24時間営業に参入するファストフードチェーンが増え、競争が激化することが予想されます。供給過剰になる前に、あえて健康に配慮した夜メニューを打ち出し差異化を図るレストランがあれば、意外と受けるんじゃないかなどと思う今日この頃です。

参考;
http://video.msnbc.msn.com/nightly-news/46183161/#46183161
http://www.businessweek.com/magazine/content/07_06/b4020001.htm

0 件のコメント:

コメントを投稿